光学

光を細くするだけで現れる不思議な輪っか《フラウンホーファー回折》

Point ・光の径を小さく丸く絞ると輪っか状のパターンが現れる ・フラウンホーファー回折によって説明できる 今回の記事では、光の面白い性質について解説する。図1のように、丸い穴の開いたスリットに光を通すという実験をしてみる。図1上のように、スリ…

直線偏光の偏光方向を回転させる《1/2波長板 》

Point ・1/2波長板を使うと偏光方向が回転する ・Fast軸またはSlow軸に対して対称に反転させた方向まで回転する 今回は、直線偏光を回転させるために使用する1/2波長板について解説する。はじめに、位相を波長の2分の1ずらすと何が起こるかについて解…

円偏光の作り方《1/4波長板 》

Point ・直交する2つの直線偏光の位相を1/4波長ずらすと円偏光になる ・複屈折結晶を用いれば、任意の位相差を与えることができる ・直線偏光を円偏光に変換する光学素子を1/4波長板という 円偏光を作る方法をネットで調べてみると、数式や専門用語を使…

Blu-rayがDVDよりも大容量な理由《光の波面》

Point ・波面とは、波の位相が揃った面のこと ・光は波面に対して垂直な方向に進む ・光の波長が短いほど集光点を小さくできる 今回は、回折シリーズの3回目として波面と呼ばれるものについて取り上げる。 光には波面という性質があり、この波面の形を調べ…

光の回折2:光は波なのになぜまっすぐ進むのか

Point ・波は波長が長いほど広がりやすく、波長が短いほど直進しやすい ・光は波長が短いためまっすぐ進む 今回は、回折シリーズの2回目として光の直進性について取り上げる。懐中電灯の光や、窓から差し込む太陽光に見られるように、光(可視光)は基本的に…

光の回折1:スリット幅と光の広がりやすさ《素元波》

Point ・光がスリットを通過したとき、スリットの幅が小さいほど光は広がりやすい ・光の広がりやすさは素元波の干渉で説明できる 今回の記事では、光が障害物の裏側に回り込む現象である「回折」について紹介していく。光の回折を説明するための分かりやす…

光が屈折する理由を車を使って説明する《光の屈折》

Point ・光の屈折は車の喩えを使って直観的に説明できる ・光が屈折する理由は物質によって光の速度が異なるため 空気から水に向かって光が侵入すると、光が屈折するのは日常目にする光景である。しかし、その理由を説明しようと思うとするとなかなか難しい…

ブリュースター角で光の反射を消す

Point ・ブリュースター角とは、p偏光の反射率がゼロになる入射角 ・反射光と透過光のなす角が90度となる ・双極子の振動方向に光が発生しないことから説明できる ブリュースター角とは 以下に示した図は、以前の記事で紹介した入射角に対するp偏光とs偏光の…

フレネル係数で遊ぶ3:複素屈折率への拡張

Point ・反射率は、屈折率の差と消衰係数の差がどちらも大きいほど上がる ・消衰係数を考慮すると位相変化が0°および180°以外の値にもなりうる 「フレネル係数で遊ぶ2」までは、屈折率を実数と仮定して話を進めてきた。しかし、屈折率の虚部にあたる消衰係…

フレネル係数で遊ぶ2:ななめ入射での反射率と透過率

Point ななめ入射での反射率と透過率は入射角に依存する。 また、s偏光かp偏光かによっても異なるふるまいを示す。 前回の記事では、垂直入射におけるフレネル係数について解説した。今回は、光がななめに入射した場合の反射と屈折について深掘りしていく。…

フレネル係数で遊ぶ1:垂直入射を中心に

Point 入射光の電場にフレネル係数を掛けると、 反射光の電場および透過光の電場に変換できる。 今回はいよいよ光学の分野で最も重要な式の1つであるフレネル係数について見ていく。 フレネル係数の応用範囲はかなり広いため、これを理解するだけで光への理…

p偏光とs偏光の違い

Point ・p偏光は、入射面に対して平行な偏光 ・s偏光は、入射面に対して垂直な偏光 光の反射率や透過率は、光の偏光方向(p偏光とs偏光)によって変わってくる。ただ、どっちがp偏光でどっちがs偏光が忘れてしまうことがよくあるので、この記事では、これらの…

複素屈折率とは

Point 複素屈折率とは、屈折率nと消衰係数kを合体させたもの。 消衰係数とは、物質がどれだけ光を吸収するかを表したもの。 大学の光学を学んだ際、実数のはずの屈折率が複素数に拡張され面食らった経験がある。この記事では、複素屈折率とは何か、およびそ…